トラッキングデータで見る! ~ vs. 清水エスパルス ~ 2015年2nd第10節

中盤で激しい攻防を繰り広げる藤田 直之(鳥栖)と枝村 匠馬(清水)出典:jleague.jp

2015年シーズンのサガン鳥栖、ここまで2ndステージ10節(27試合)を戦い年間順位13位。清水戦… いやぁホームで勝てませんなぁ。 ちょっとどうなってるんだ!!
と言う訳で、つのるイライラは、一旦、隅に置いといて、今年からJリーグ公式サイトで開始されているトラッキングシステム走行距離データスプリント回数を活用して両チームどれだけ「ハードワーク」したかを探ってきたいと思います。 さて、この試合、数値化して視覚的に見えるようにして、何がわかってくるのか? はたまた、何もわからないのか? それでは始めます!!

まずは、
ニュース記事でよく見かける「J1第2ステージ第10節走行距離発表、最も走ったのは…」的なやつの「サガン鳥栖版」をどうぞ↓

・J1第2ステージ10節  サガン鳥栖走行距離ランキング発表 ※対清水(0-0 引分け)①2015_J1_2nd_10節_走行距離ランク(鳥栖)

藤田選手が1位。さすがキャプテン!! 2位が高橋選手、3位吉田選手、4位豊田選手、5位キムミンヒョク選手と各ポジションでよく走っている感じですね。
こうなってくると、対戦相手も含めた走行距離も知りたくなっるわけで↓

②2015_J1_2nd_10節_走行距離ランク(鳥栖vs清水)

ふむふむ、1位~10位までに鳥栖の選手が5人、清水が5人互角の勝負ですね。
データさえ整備すれば、こんな感じで楽しむことも可能です。

さて、もう少し掘下げてみましょう!!
チームの総走行距離をみてみます。「鳥栖:118.58」、「清水:113.02」と鳥栖が5Km程多く走っています。また、『走り勝った=ハードワーク』であれば、鳥栖の選手はかなりハードワークしたことになります。チームの総走行距離だけ見たら鳥栖が勝っていてもおかしくない数字ですね。では、なぜ勝てなかったのか?
ここでは「走行距離」に加えて「スプリント回数」も含めて試合内容を検証してみます。

ちょっと、その前に
前回記事を読まれている方は「引用」箇所、読み飛ばされて結構です!!
冒頭から「トラッキングシステム」、「トラッキングデータ」、「走行距離」、「スプリント回数」、「ハードワーク」って、そもそも何? と疑問を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。改めて他サイトでの引用となりますが概要を整理していきたいと思います。引用文中の特に「ISOLOG」さんの記事は秀逸です。
また、ハードワークについては「前回記事」で私が独自に定義づけたものとなります。

——–<引用開始>——–

■トラッキングシステムとトラッキングデータ (サッカー)

トラッキングとは専用のカメラとソフトウェアを用いてピッチ上の選手、審判、ボールの動きをデータ化する仕組です。選手の動き(走行距離やスピード、ポジショニングなど)をデータ化することでチーム強化に役立てられることはもちろん、ファンやサポーター向けの新しいコンテンツとしても使用することができます。
※引用元:Data Stadium

■走行距離とスプリントの関係
何故サッカーでは「スプリント」をし、走らなければいけないのか?
まずその根本的な理解をしなくてはいけません。 サッカーではマークを外し裏に抜ける為に走る。ボールを奪われ取り返す為に走る。前線からのプレスをする為に走る。サイドバックがタイミングよく前線でボールを受ける為に走る。サイドからのセンタリングに合わせるために走りこむ。DFが一気にラインを押し上げるために走る。様々な走る(スプリント)がありますよね。試合の中でスプリントが比較的多いのは攻撃的な選手です。 マークを外すのにDFより先に動き良い形でボールを受けようと仕掛けるからです。DFはそういう意味では受け身ですからFWの方が多くなるのは当然ですね。

またチームとして「走行距離」が長いというのはどういう事なのか?それはいかにチーム全体がコンパクトに戦い、FWやMFはボールを引き出す為にスプリントをしているかという事になります。 コンパクトに戦うという事はDFがラインの上げ下げをいかに素早く手を抜かずにやっているかなのでDF陣の走行距離が上がります。すごく大事だけどすごく地味でサボりがちになるDFもいますが本当大事です。

ここまで見ていて気づきませんか?「スプリント」をし、「走行距離」が長いという事はチームがコンパクトに戦い、常にマークを外す事を考え、前線からのプレスをかけているかという指標になるんです。
※引用元:サッカーにおいての走行距離とは – ISOLOG

■私なりに考える「ハードワーク」
勝利のために効率よくオフ・ザ・ボールではスプリント(結果として走行距離も長く)し、また、オン・ザ・ボール対人の戦いに勝利することがハードワーク!!
※引用元:トラッキングデータで見る! ~サガン鳥栖 ハードワークって? ~ 2015年2ndステージ

——–<引用終了>——–

それでは、整理できたところで、始めましょう!!
■「走行距離」・「スプリント回数」データで検証! ~ 清水エスパルス戦 ハードワークした?


・J1第2ステージ10節  ※対清水(0-0 引分け)

 [チーム走行距離] 鳥栖:118.58 Km  / 清水:113.02 Km
 [チームスプリント] 鳥栖:143 回 / 清水:175 回

③2015_J1_2nd_10節_走行距離グラフ(鳥栖)

③2015_J1_2nd_10節_走行距離グラフ(横浜M)

上記、走行距離グラフの「青色が鳥栖」、「赤色が清水」です。ポジション別に走行距離を可視化したグラフとなります。見てみると… ポジション別での走行距離はほぼ互角ですね。チーム走行距離で5Km程の差がありましたがよく見るとGKで「2.57Km」鳥栖が上回っていることが大きな要因となっているようです。林選手の大活躍の裏にこの走行距離も関係してるかもしれませんね。少し調べたら「NumberWeb」に林彰洋がノイアーより走る3つの理由 守備ラインの低い鳥栖でなぜ5km超?という興味深い記事がありましたのでどうぞ。
次にスプリントを見てみましょう。

④2015_J1_2nd_10節_スプリント回数グラフ(鳥栖)

④2015_J1_2nd_10節_スプリント回数グラフ(横浜M)

上記、スプリント回数グラフの「青色が鳥栖」、「赤色が清水」です。ポジション別に見ると、FWとMFで清水が上回ってますね。
鳥栖はDFで清水を上回ってます。

この2つのグラフからより効果的にハードワークしたチームはどちら? 仮説
実際に試合を観た方なら言わずともでしょうが… データ上でどうだったかを見ていきたいと思います。走行距離とスプリント回数との関係は下記の指標だという考えに立てば…

『指標』
「スプリント」をし、「走行距離」が長いという事はチームがコンパクトに戦い、常にマークを外す事を考え、前線からのプレスをかけているかという指標

走行距離は互角という事から、鳥栖の「相手を上回る運動量」という所の良さは、出てないと判断しています。この点、どのチームも対鳥栖対策として、ある程度、走り負けないよう意識的に中盤で効率よく、運動量あげてきていると思いますね。ある意味、鳥栖は走らされているかも…前半を運動量で互角にに渡り合えば、運動量で上回ろうとする鳥栖は前半から飛ばさざる負えない。その為、去年以上に前半の消耗が激しい。後半運動量が落ちてきたところを、スプリントとパス回しで中盤支配される。今季の特徴だと思われます。で、今回は、違いが大きいスプリント回数についてフォーカスして見ていきます。鳥栖のスタイルは、前線の選手にアーリークロスやロングボールを入れて基点を作って攻め上がるスタイルから、確かに中盤のスプリントは減るかもしれませんが、前線で基点ができて、2列目の攻め上がりやこぼれ球からの攻撃がうまく機能していれば、相手主導のスプリントは減り、結果として相手と互角かそれ以上のスプリント回数となるのではないか。しかし、現実は、グラフを見る限り、スプリント回数は清水のFW、MFに圧倒されており、中盤は清水が支配していた時間が長く、鳥栖のMFは、後手に回る守りのスプリントが多かったように見えます。一方、DFで見ると鳥栖のスプリント回数が多いですね。これは、ラインコントロールやカバーリングなど鳥栖のDFラインが機能していた現れではなでしょうか。

『仮説』
鳥栖は、勝利のために守備面では効果的なハードワークができたが、攻撃面は清水に抑え込まれた。

清水は、勝利のために攻守ともにハードワークし鳥栖を追い詰めた。結果としてのゴールがなかった。
勝利のためにより効果的にハードワークしたのは、清水。鳥栖はハードワークが空回り。

では、仮説を検証!!

下の一覧は、この試合のスプリント回数ランキングです。

⑤2015_J1_2nd_8節_スプリント回数グラフ(鳥栖・清水)

1位、2位、4位、5位に清水の選手。3位に鳥栖の金民友選手。
さらに、スプリント20回以上の4人中3人が清水の選手…
FWのスプリント回数の差は歴然としていますね。「鳥栖:29回」「清水:48回」

もう一つダメ押しに検証
サッカーのデータを扱うサイトとして有名な「Football LAB」ってありますよね。
そこの「チームスタッツ」を確認してみると、お互いのスタイルの特徴がよく見えます。
今回まだ試合結果データがサイトに反映されていないようですので、反映されたら追記しようとおもいます。
データ反映(9/15確認)されましたので見てみますと、「パス本数と成功率」、「30mライン進入回数」、「クロス成功率」は、いずれも清水が上回っています。一方、「タックル回数と成功率」は鳥栖が上回っています。
ホール支配率は、「鳥栖:47.8%」、「清水:52.2%」で後半時間経過とともに清水の支配率が上がったという結果になっています。以上のオン・ザ・ボール時のデータからもほぼ仮説通りではないかと考えられます。興味のある方は、こちらからどうぞ。

『仮説検証の結果から』
やはり清水が勝利のために効果的なハードワークをしていたと考える。鳥栖の「J1第2ステージ10節  清水エスパルス戦」での収穫は、失点0に抑えたこと。それ以外はデータ上特筆することはなかった。走行距離、スプリント回数ともに過去敗戦となったときのパターンに似ており、今節はたまたまGK林選手の好セーブに助けられているだけかもしれない。

最後に
とはいえ、やはりスタジアムに足を運び、贔屓のチームを熱く応援するのが一番ですね。
その際、または、試合後に今回書いた記事のような視点を頭の片隅に置いて、さらに充実した「サガン鳥栖ライフ」「FootBallライフ」が送れたらと…
次回以降も、以上のような視点でサガン鳥栖、FootBallの新たな魅力を探っていきたいと考えています。

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