トラッキングデータで見る! ~ vs. 浦和レッズ ~ 2015年2nd第13節

吉田 豊(#23)のゴールで試合を振り出しに戻した鳥栖 【出典:jleague.jp】

■2015年シーズン・ラスト5
2015年シーズンのサガン鳥栖、ここまで2ndステージ13節(30試合)を戦い年間順位14位。1stステージHome(1-6)で敗れた浦和レッズ戦でしたね。結果はみなさんご存じのとおり、1-1のドロー。2ndステージ残り5試合で14位という状況。勝ち点の重みをひしひしと感じる季節になってきました。試合内容など物足りなさもなきにしもあらず。。。必ずしもサポーターが満足するような戦いではなかったかも。。。しかし、シーズン終了後に振り返ってみたとき、「この一戦での勝ち点1は残留、引いては、来シーズンに向けて貴重な勝ち点だった」といえるような状況になることを切に願っています。

・それでは、
今回も今年からJリーグ公式サイトで開始されている「トラッキングシステム」の「走行距離データ」と「スプリント回数」を活用して「オフ・ザ・ボール」の視点から両チームの「ハードワーク度」を検証していきたいと思います。また、その検証裏付けとして、サッカーのデータを扱うサイトとして有名な「Football Lab」さま掲載のデータを活用して、「オン・ザ・ボール」の視点からどれだけ「勝利のために効率よくハードワークしたか?」を探っていきたいと思います。
さてこの試合、数値化して視覚的に見えるようにして、何がわかってくるのか? はたまた、何もわからないのか? それでは始めます!!

※「Football LAB」さまにてサイト掲載されているデータの取扱いについて、問合せをしまして、個人ブログでのデータ使用ガイトラインを示して頂きましたので、その範疇で記載してきます。

・まずは、
 ニュース記事でよく見かける「J1第2ステージ第13節走行距離発表、最も走ったのは…」の「サガン鳥栖」版をどうぞ↓

・J1第2ステージ13節  サガン鳥栖走行距離ランキング発表 ※対浦和(1-1 引分け)
①2015_J1_2nd_13節_走行距離ランク(鳥栖)
水沼選手が1位。2位が高橋選手、3位キムミヌ選手、4位岡本選手、5位ソングン選手と今回は、前線の選手が上位を占めています。

こうなってくると、対戦相手も含めた走行距離も知りたくなっるわけで↓
②2015_J1_2nd_13節_走行距離ランク(鳥栖vs浦和)
上位1位~3位は、鳥栖の選手が独占しています。1位~10位までを見ていくと鳥栖が5人、浦和が5人ですね。ランキング上位の選手のポジションを見てみるとFWとMFの選手たちばかりです。しかし、良く見てみると浦和は、DF2人(槙野選手・森脇選手)がランクインしています。これは、どういう事なのでしょうか?

このようにデータさえ整備すれば、こんな感じで楽しむことも可能です。
下に参考としてスターティングメンバーのフォーメーションもつけておきます。
⑩2015_J1_2nd_13節_先発フォーメーション

・では、もう少し掘下げてみましょう!!
チームの総走行距離をみてみます。「鳥栖:110.66」、「浦和:107.59」と鳥栖が3Km程多く走っています。また、『走り勝った=ハードワーク』であれば、鳥栖の選手はかなりハードワークしたことになります。チームの総走行距離だけ見たら鳥栖が勝っていてもおかしくない数字ですね。では、なぜ引分けだったのか?
ここでは「走行距離」に加えて「スプリント回数」も含めて試合内容を検証してみます。

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・ちょっと、その前に
前回記事を読まれている方は「引用」箇所、読み飛ばされて結構です!!
冒頭から「トラッキングシステム」、「トラッキングデータ」、「走行距離」、「スプリント回数」、「ハードワーク」って、そもそも何? と疑問を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。改めて他サイトでの引用となりますが概要を整理していきたいと思います。引用文中の特に「ISOLOG」さんの記事は秀逸です。
また、ハードワークについては「前回記事」で私が独自に定義づけたものとなります。

——–<引用開始>——–

■トラッキングシステムとトラッキングデータ (サッカー)

トラッキングとは専用のカメラとソフトウェアを用いてピッチ上の選手、審判、ボールの動きをデータ化する仕組です。選手の動き(走行距離やスピード、ポジショニングなど)をデータ化することでチーム強化に役立てられることはもちろん、ファンやサポーター向けの新しいコンテンツとしても使用することができます。
※引用元:Data Stadium

■走行距離とスプリントの関係
何故サッカーでは「スプリント」をし、走らなければいけないのか?
まずその根本的な理解をしなくてはいけません。 サッカーではマークを外し裏に抜ける為に走る。ボールを奪われ取り返す為に走る。前線からのプレスをする為に走る。サイドバックがタイミングよく前線でボールを受ける為に走る。サイドからのセンタリングに合わせるために走りこむ。DFが一気にラインを押し上げるために走る。様々な走る(スプリント)がありますよね。試合の中でスプリントが比較的多いのは攻撃的な選手です。 マークを外すのにDFより先に動き良い形でボールを受けようと仕掛けるからです。DFはそういう意味では受け身ですからFWの方が多くなるのは当然ですね。

またチームとして「走行距離」が長いというのはどういう事なのか?それはいかにチーム全体がコンパクトに戦い、FWやMFはボールを引き出す為にスプリントをしているかという事になります。 コンパクトに戦うという事はDFがラインの上げ下げをいかに素早く手を抜かずにやっているかなのでDF陣の走行距離が上がります。すごく大事だけどすごく地味でサボりがちになるDFもいますが本当大事です。

ここまで見ていて気づきませんか?「スプリント」をし、「走行距離」が長いという事はチームがコンパクトに戦い、常にマークを外す事を考え、前線からのプレスをかけているかという指標になるんです。
※引用元:サッカーにおいての走行距離とは – ISOLOG

■私なりに考える「ハードワーク」
勝利のために効率よくオフ・ザ・ボールではスプリント(結果として走行距離も長く)し、また、オン・ザ・ボール対人の戦いに勝利することがハードワーク!!
※引用元:トラッキングデータで見る! ~サガン鳥栖 ハードワークって? ~ 2015年2ndステージ

——–<引用終了>——–

・それでは、整理できたところで、始めましょう!!

■「走行距離」・「スプリント回数」データで検証! ハードワークした?

 [ステージ/スコアJ
1第2ステージ13節  鳥栖対浦和/1-1 引分け

 [チーム走行距離] 鳥栖:110.66 Km  / 浦和:107.59 Km
 [チームスプリント] 鳥栖:121 回 / 浦和:123 回

③2015_J1_2nd_13節_走行距離グラフ(鳥栖)
③2015_J1_2nd_13節_走行距離グラフ(浦和)
上記、走行距離グラフの「青色が鳥栖」、「赤色が浦和」です。ポジション別に走行距離を可視化したグラフとなります。見てみると…両チーム システムの違いから、ポジション別での走行距離にだいぶ違いがあることがわかります。鳥栖は、FWの走行距離が浦和を大きく上回ってます。一方浦和は、MFで鳥栖を大きく上回ってます。試しに両チームのFWとMFの走行距離を足したもので比較してみると「鳥栖:74.53Km」、「浦和:74.47Km」となり、前線から中盤にかけての走行距離は互角です。では、もう少し掘下げて、両チームのFW、MFでの走行距離ランキング↓↓を見てみましょう。

④2015_J1_2nd_13節_FWMF走行距離ランキング
上位3人は鳥栖の選手ですが、1位から10位でのランキングでみると鳥栖:5人、浦和:5人と拮抗していますね。次にスプリント回数を見てみましょう。

⑤2015_J1_2nd_13節_スプリント回数グラフ(鳥栖)

⑤2015_J1_2nd_13節_スプリント回数グラフ(浦和)

上記、スプリント回数グラフの「青色が鳥栖」、「赤色が浦和」です。こちらも両チーム システムの違いから、ポジション別でのスプリント回数にだいぶ違いがあることがわかります。鳥栖は、FWのスプリント回数が浦和を大きく上回ってます。一方浦和は、MFで鳥栖を大きく上回ってます。試しに両チームのFWとMFのスプリント回数を足したもので比較してみると「鳥栖:96回」、「浦和:94回」で前線から中盤にかけてのスプリント回数もほぼ互角です。DFに目を移すと浦和が鳥栖を4回程上回っていますがそんなに大差ありません。もう少し掘下げて見た方が良さそうですね。

まずは、両チームでのFW、MFのスプリント回数ランキング↓↓
⑥2015_J1_2nd_13節_FWMFスプリント回数ランキング
注目は、3位のFWの池田選手です。出場時間74分で18回のスプリントです。浦和では1位、2位の興梠選手、宇賀神選手が突出しています。3位~7位までに鳥栖の選手、8位以降には浦和の選手がずらりとランクインしています。トータルでみると、「鳥栖:96回」、「浦和:94回」で大差ありません。これは、どういうことでしょうか?鳥栖はランキング上位の特定の選手が、かなりスプリントした。浦和は、ランキング上位の特定の選手+それ以外の選手が万遍なくスプリントし、トータルスプリント回数を底上げして、結果として鳥栖とスプリント回数が拮抗した。こうしてみると浦和は、選手層と戦術で90分間、たえまなく効率よくスプリントしたように見えます。これが、上位チームの底力なのかもしれません。一方、鳥栖は、池田選手の74分での交代に象徴されるようにスターテングメンバーが限界ぎりぎりまでスプリントし浦和に対抗していたように見えます。

次は両チームでのDFスプリント回数ランキング↓↓です。
⑦2015_J1_2nd_13節_DFスプリント回数ランキング
1位はミンヒョク選手。かなり健闘してます。それ以降は、上位に浦和の選手が並びます。

そろそろ、仮説をと言いたいのですが…
今回は、走行距離とスプリントだけで仮説を立てるのがちょっと難しいと思っていて、追加でボールポゼッション率が必要だと考えています。ボールポゼッション率は、サッカーのデータを扱うサイトとして有名な「Football LAB」さんの「時間帯別支配率・シュート・ゴール」を活用したいと思います。図中のグラフの下の丸印がシュート数になります。

引用元:Football LAB

一目瞭然ですね。ボールポゼッションは浦和が鳥栖を上回っていたのがわかります。
試合全体で見ると「広島:65.1%」、「鳥栖:34.9%」です。

仮説 これらのグラフ・数値からより効果的にハードワークしたチームは?
実際に試合を観た方なら言わずともでしょうが… データ上でどうだったかを見ていきたいと思います。走行距離とスプリント回数との関係は下記の指標と定義だという考えに立てば…

『当ブログで考えるハードワーク指標』
「スプリント」をし、「走行距離」が長いという事はチームがコンパクトに戦い、常にマークを外す事を考え、前線からのプレスをかけているか。

『当ブログで考えるハードワークとは(定義)』
勝利のために効率よくオフ・ザ・ボールではスプリント(結果として走行距離も長く)し、また、オン・ザ・ボールで対人の戦いに勝利することがハードワーク!!
※引用元:トラッキングデータで見る! ~サガン鳥栖 ハードワークって? ~ 2015年2ndステージ

まず、前提として浦和がボールポゼッション率で上回った事実に基づいて、鳥栖の走行距離とスプリント回数をみると浦和と大差はありません。しかし、ボールポゼッション率は、「34.9%」と圧倒的に浦和に支配されていたことがわかります。このことから、鳥栖のFWは前線からパスコースを限定していくようなチェイシングするためのスプリントを多く行い、結果として走行距離が伸びたものと考えられます。中盤を見ていくと枚数の多い浦和ですが、FW、MFのトータル走行距離、スプリント回数でいずれも両チーム拮抗しており、スコア1-1から見ても鳥栖のプレスが機能し、最終ラインまでの守備が組織的に行われたと見て取れます。そして、圧倒的に押し込まれながらもカウターの機会をうかがいながら得点狙い続けたことが、シュート本数7本に表れています。対する浦和は、ポゼッションで優位に立ってパスを回しながら、攻撃の為のスプリントを多く繰り返していたと考えられます。またFW、MFだけでなく、DFの攻撃参加で鳥栖の守備ブロックを崩そうと試みたように見えます。DFに那須選手、森脇選手、槙野選手のスプリント回数に表れていると考えられます。さらに、走行距離・スプリント回数のランキングから見ると鳥栖は、ランキグ上位の特定選手で数値を延ばしているのに対して、浦和のランキング上位の選手は、鳥栖より少なく数値も低い傾向にありますが、ランキング上位以外の選手が万遍なく数値を延ばしており、結果的に鳥栖と浦和の数値は拮抗しています。このことから、鳥栖は、1点は奪ったものの先発の特定メンバーの体力消耗と守備的な交代カードを切ったことで追加点を取ることは厳しい状況であったと考えられます。一方、浦和は、バランスよく試合を運んだものの、鳥栖の戦術にはめられ、選手交代も実らず、最後まで追加点は奪えなかったと考えられます。

『仮説』
鳥栖は、
守備面では前線から積極的にチェシングを行い中盤で効果的にプレスをかけ最終のDFラインも安定していた。その面では組織的、効果的なハードワークができた。攻撃面は守備に貢献しながら尚且つ少ないチャンスをモノにできるような攻撃で1点は奪ったものの選手の守備への負担から体力を消耗し、追加点を奪うことは厳しかった。終盤は、守備の選手交代で現実的な勝ち点1を取りに行った。
浦和は、勝利のためにボールポゼッションを高めながら得点の機会をうかがい続けたが、結果的に鳥栖の戦術にはまってしまった。両チームとも勝利のためにより効果的にハードワークしたが、両者追加点を奪うには至らなかった。ゲームプランから見ると鳥栖が優れていた。しかし、これまでのセットプレーからの失点が改善されておらず、もったいない試合となった。

では、仮説を検証!!

今回は、走行距離・スプリント回数というオフ・ザ・ボールの動きだけでは、検証が難しいと考えていて、オン・ザ・ボールのデータを検証する必要があると考えています。 こちらもについても「Football LAB」さんの「チーム・スタッツ」活用して検証していきます。

引用元:Football LAB

引用元:Football LAB

鳥栖が広島を上回っているのは「シュート成功率:14.3%」、「クリア回数:31回」です。効率よく得点し、必死に守り抜いた姿が浮かび上がってきます。一方、浦和は攻撃・守備ともほとんどの数値で鳥栖を上回っています。

『仮説検証の結果から』
両チームとも勝利のためにより効果的にハードワークしたが、両者追加点を奪うには至らなかった。ゲームプランから見ると鳥栖が優れていた。しかし、これまでのセットプレーからの失点が改善されておらず、鳥栖にとっては、もったいない試合となった。裏を返せば、鳥栖の思惑どおりの試合展開にも関わらず、負けない浦和の底力をみた試合でもあった。補足として鳥栖の今シーズンの失点パターンを下につけておきます。
⑪2015_J1_2nd_13節_シーズン失点パターン

最後に
とはいえ、やはりスタジアムに足を運び、贔屓のチームを熱く応援するのが一番ですね。
その際、または、試合後に今回書いた記事のような視点を頭の片隅に置いて、さらに充実した「サガン鳥栖ライフ」「FootBallライフ」が送れたらと…
次回以降も、以上のような視点でサガン鳥栖、FootBallの新たな魅力を探っていきたいと考えています。

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