『残留力』鳥栖スタイルを分析! ~ vs. 浦和レッズ ~ 2015年2nd第13節

[2015年シーズン、ラスト5]
2015年シーズンのサガン鳥栖、ここまで2ndステージ12節(29試合)を戦い年間順位14位。次は1stステージHome(1-6)で敗れた浦和レッズ戦ですね。残留力が試される一戦です。

今回は、前節甲府戦での鳥栖:高橋選手のマッチコメントにもありました「鳥栖らしさ」をキーワードに「鳥栖スタイルとは何なのか?」を改めて考えてみたいと思います。チームスタイルを再確認することで、浦和戦を見る際の視点、および、「残留力」を考える際の視点の1つとなればと思っています。
使用する資料は、鳥栖が大躍進した、2014年シーズンに書かれたサッカーのデータを扱うサイトとして有名な「Football LAB」さまに掲載されたコラム『選手新指標開発P④ ~「敵陣空中戦力」を制する男「豊田陽平」と鳥栖の躍進~』を引用抜粋して「鳥栖スタイルとは何なのか?」の話を進めて行きたいと思います。

※「Football LAB」さまにてサイト掲載されているデータの取扱いについて、問合せをしまして、個人ブログでのデータ使用ガイトラインを示して頂きましたので、その範疇で記載してきます。

以下、にコラムの引用抜粋です。

—–<引用抜粋開始 (引用元:Football LAB)>—–

2014 5/23 [Fri.]
選手新指標開発P④ ~「敵陣空中戦力」を制する男「豊田陽平」と鳥栖の躍進~

今までのコラムでは、ゴールと関係のある指標、チャンスメイクと関係する指標を取り上げてまいりましたが、コラム4回目は、選手個人の特徴をシンプルかつはっきりと理解できる指標として、「空中戦」のスコアを取り上げたいと思います。

サッカーのチーム戦術を決める上で重要となるファクターの1つに「空中戦に強い選手がいるかどうか」という視点があると思います。トップに空中戦に強い選手がいれば、つないで崩すことなくシンプルにロングボールを入れて押し込めばいいですし、そこで競り勝つことができれば、ボールロストしたとしても敵陣で守備を始められますので、リスクマネジメントも含めて戦うことができるというメリットがあります。

一方、空中戦に強い選手がいなければ、ロングボールを入れたとしてもすぐにカットされてしまうわけで、結果としてグラウンダーのパスを主体としたサッカーを志向しているという場合もあります。川崎Fはまさにそういうチームと言っていいと思います。

Football LABでは、今回の新指標選定にあたり「空中戦の勝利数」を選手の特徴を表す重要な指標に選定し、その指標がチーム全体のスタイルにどのような影響を与えるのかについて考察してみました。今回は「敵陣空中戦勝利数」にフォーカスを当ててみます。

引用元:Football LAB (敵陣空中戦力ランキング)

引用元:Football LAB (敵陣空中戦力ランキング)

<Playing Style指標8:敵陣空中戦力>=敵陣での空中戦に勝利した数
まずは、敵陣での空中戦に勝利した数を偏差値化し、ランキングにしたものが上記の表となります。
J1で見ると、鳥栖の豊田が2位につける名古屋のケネディを大きく離して1位となっています。敵陣での勝利数が257回と、いかに空中戦で勝利をしているかが分かるかと思います。

3位は甲府のパトリック、4位は現在J2で大爆発している湘南のウェリントンと長身で屈強なFWがランクインしています。5位は日本代表の大迫勇也となっています。上位にランクインした選手の顔触れをみると、前回紹介したシュート力・決定力ランキングとは異なる顔触れとなっており、この指標自体が選手の個性を表す上でユニークなものだと分かります。

<敵陣空中戦力はヘディングシュート数と関係あり>
次に敵陣空中戦力ベスト20の選手における1試合平均の敵陣勝利数、ヘディングシュート数とシュート比率の内訳、ヘディングでのゴール数と、頭、左足、右足それぞれのシュート成功率を見てみました。

まず、トップの豊田は1試合平均7.56回、空中戦に競り勝っており、驚異的なスコアとなっております。ケネディ、パトリック、ウェリントン、大迫、赤嶺真吾(仙台)までが1試合3回以上となっており、この6選手が所属しているチームはロングボールをトップに入れてくる戦術を採用していると言ってもいいかもしれません。

次に、ヘディングシュート数の内訳を見ると、豊田が51本と最多であり、2位パトリック、3位ケネディとこの3人が40本以上です。他の選手も含めてトップ20選手のシュート内訳比率を見ると、全体のシュート数に占めるヘディングシュートの比率は18.0%に対して、豊田は46.8%、ケネディ47.1%、パトリック47.7%とヘディングシュート比率が圧倒的に高く、大迫や田中順也(柏)を除いて、ほとんどの選手が30-40%がヘディングシュートというスコアになっております。つまり、敵陣空中戦力の高い選手はヘディングシュートをしやすい選手だということが分かるかと思います。

一方、ヘディングでのゴール数を見ると、最もヘディングでゴールを決めているのは豊田の8点ですが、2番目に多いのは7得点の川又堅碁(新潟)です。それぞれのシュート成功率を見ると、豊田(15.7%)よりも川又の方が24.1%と高く、必ずしもシュート精度が高いわけではないということが分かるかと思います。ここらへんは、チーム全体の戦術方針や本人のシュート精度も加味しているので、総合的に見ていく必要がありそうです。

<敵陣空中戦力と得点パターンの関係>
最後に敵陣空中戦力の高いチームとそうでないチームでの得点パターンの違いについて考察していきたいと思います。以下の図は2013年におけるスタメン10人の平均敵陣空中戦Rating(20段階の平均)をランキングにしたものです。簡単に言うと、このスコアが高いほど敵陣の空中戦が強いということになります。2013年、最も敵陣での空中戦の高かったチームは、豊田率いる鳥栖でした。次いで大宮、横浜FM、柏、名古屋の順でした。必ずしも上位に入っている選手がいるチームが高いとは限らないのが面白いところです。

次に、それぞれのチームの得点パターンを見ると、敵陣空中戦力の高いチームは比較的セットプレーでの得点ランキングが高いことが分かります。これは容易に想像できるかと思います。ヘディングシュート数が多い選手がたくさんいるわけなので、これは当たり前の結果かもしれません。

ただ、クロスでの得点ランキングを見ると、柏以外は上位に上がっていないことが分かりました。2番目の新潟は川又のヘディングシュート成功率が高かったということもあり、チームよりも個人で点を取れる選手がいたということも関係があるかもしれません。ただ、鳥栖は豊田という存在がいたにも関わらず、クロスからの得点は思ったほど上げられませんでした。むしろ、ロングパス数がJ1でナンバーワン、ロングパスからの得点が2位と豊田にロングボールを入れるサッカーが主体だったことが見えるかと思います。

引用元:Football LAB 得点パターン

引用元:Football LAB 得点パターン

<クロスチャンス力上昇が2014年鳥栖躍進のキーファクター>
鳥栖は2013年12位でフィニッシュでしたが、今季は2位と躍進の年となっています。その要因はまさにクロスCBPのアップでした。以下の表は2013年と2014年(14節終了時点)でのチーム&選手クロスCBPランキングになります。

これを見ると、敵陣空中戦力が高い鳥栖は2013年でのクロスCBPランキングが15位だったのですが、2014年は1位となっています。選手ランキングを見ても、2013年はトップ20に鳥栖の選手が金民友だけだったのですが、2014年は5位に磐田から加入した安田理大、8位に水沼宏太、20位に金民友と3人もの選手がトップ20にランクインしており、クロスからのチャンスを量産していることが分かります。

特に、安田の加入は大きく、現在チームアシスト王となっています。鳥栖自身も強化ポイントとして、クロスを上げられるサイドバックをリストアップしていたのでしょう。チームの得点パターンを見ても、2014年はクロスからの得点が30.4%と飛躍的に上昇しており、ロングパスとクロスでチャンスをつくるバリエーションが出てきているとも言えます。

敵陣空中戦力の高いチームがクロスとロングパスを主体としたサッカーを志向するのは、一つのスタイルとして目指すべき姿なのかもしれません。

③FootballLAB引用:クロスCBPランキング

引用元:Football LAB クロスCBPランキング

引用元:Football LAB 鳥栖の得点パターン

引用元:Football LAB 鳥栖の得点パターン

第4回は、「敵陣空中戦力」を取り上げてまいりましたが、豊田を軸とした鳥栖のサッカーを垣間見たコラムとなりました。ザッケローニ監督が目指すパスサッカーに合わないとして、豊田がワールドカップ日本代表の23人から外れたのは非常に残念ですが、空中戦を生かしたサッカーを志向する鳥栖が魅力的なチームであることに変わりはありません。こういったチームスタイルを判別する一つの指針として、「敵陣空中戦力」のスコアを今後もウオッチしていただければ幸いです。

—–<引用抜粋終了 (引用元:Football LAB)>—–

躍進のキーとして、豊田選手の並外れた敵陣空中戦力とクロスボールの相関関係があったことがわかりますね。現在のチームがラスト5試合をどう乗り切ろうと考えているのか?冒頭でも述べた甲府戦後の高橋選手のマッチコメントを引用したいと思います。

—–<引用開始 (引用元:jleague.jp 2ndステージ 第12節 甲府戦後 選手コメント)>—–
[ 高橋 義希 ] 内容としては負ける試合ではなかったと思うし、もったいない試合だった。相手が引いて守ってきた中でもう少し、ボランチとセンターバックの距離感を前に持っていければ、(相手の)間を突くようなパス回しも増やせたんじゃないかなというのはあります。クロスを上げても決め切れないところもあったし、そこで2次攻撃、3次攻撃が増やせていければそれが鳥栖らしさだと思うし、それを出してこそ鳥栖だと思う。クロスの回数も増やしていきたいし、中の厚みというのも増やしていかないといけない。守備が安定してきてその意識も徐々に出てきているのですが、試合ではまだ思うように出せていない。もっと練習から突き詰めていかないといけないと思う。今日のようにミスは起こるものだし、それを周りがカバーしていくのが鳥栖。カバーできるようにしていかないといけない。
—–<引用終了 (引用元:jleague.jp)>—–

如何でしょうか。残留争いの中、昨年、躍進を支えたクロスボールの回数を意識しています。また、「ミスを周りがカバーする」と言うデータには表れにくいメンタルにも言及しています。チームとして決して諦めず、「鳥栖らしさ」を取りもどす為に試行錯誤しながら、もがいている様子がうかがえます。次節浦和戦、この思考錯誤や迷いがどれだけ解消され、また、チームとしてのメンタル的な結束力を発揮して、どれだけ「鳥栖スタイル」を表現できるか。躍動する「サガン鳥栖」となることを信じて、今回は終わりにしたいと思います。

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